2.07 洞窟の考古学
概要
洞窟は古代から人類と深く関わってきた。以下にその主な利用方法と考古学的な要素をまとめる。
主な利用方法
住居
南向きの大きな洞口は住居跡である可能性が高い。
洞窟は住居として利用され、壁画や像が残されていることもあります。
- フランスのラスコー洞窟には旧石器時代の壁画があり、動物や狩猟のシーンが描かれている。
- スペインのアルタミラ洞窟には、先史時代の動物の壁画が描かれている。
- フランスのチャウベ洞窟には、約3万年前の壁画があり、馬やライオンなどの動物が描かれている。
- アルジェリアのタッシリ・ナジェールには、サハラ砂漠にある洞窟で、古代の人々が描いた壁画が多数残されている。
埋葬場所と信仰
洞窟は埋葬場所や信仰の対象としても利用された。
- イタリアのカッパドキアには、初期キリスト教徒が迫害を逃れるために住んだ洞窟教会がある。
- トルコのデリンクユ地下都市には、古代の人々が住んでいた地下洞窟が広がっている。
- イスラエルのクムラン洞窟には、死海文書が発見され、古代の宗教的な文書が保存されていた。
修験道
日本の修験道では、洞窟は修行の場として重要な役割を果たしてきた。
修験者たちは洞窟内で瞑想や修行を行い、精神的な成長を求めた。
その他の利用
現代に近づくと、洞窟は博打場や隠れ家としても利用された。地表に水がない地域では、水を汲みに行く場所としても重要だった。
考古学的遺物
洞窟では住居跡、祭壇跡、土器、勾玉、壁画、像、獣骨、人骨など、多くの考古学的に貴重な遺物が発見される。
以下に主な遺物をまとめる。
日本の具体的な事例
秋吉台の洞窟(山口県)
秋吉台には多くの洞窟があり、その中には旧石器時代からの遺物が発見されている。特に、秋芳洞は観光地としても有名。
龍泉洞(岩手県)
龍泉洞は日本三大鍾乳洞の一つで、内部には古代の人々が使用したとされる遺物が発見されている。
遺物発見時の注意点
遺物を発見した場合、まず触らずにその場所から動かさないことが重要である。発見された場所からわかる事実が多いため、学術的な調査には可能な限り協力すべき。
伝説と文化
洞窟には新しい時代の伝説も多く語り継がれている。地元の古老に洞穴の話を聞くことで、その地方特有の文化や歴史が見えてくることがある。
文化財の指定
文化財の指定を受けていない洞窟も多くある。指定の有無については都道府県の教育委員会に問い合わせるとよい。