6.01 水没部、半水没部を通過するときの注意点

6章

概要

通路が水で満たされているものの、天井付近に空間が残っている通路を「半水没部」と呼び、天井まで完全に水没しており呼吸が出来ない部分がある通路を「水没部」とよぶ。

このような通路は、通過中に服が引っかかったりパニックになることで溺れてしまうリスクがあるため、洞窟に来るのは初めてという参加者を連れて行くことは基本的に推奨しない。ここでは何度か初心者向けツアーに参加経験がある方向けの洞窟、特に水没した通路がある洞窟での注意点を解説する。

水深が浅い半水没部

通常は匍匐前進や四つん這いで通るような高さの通路が水で満たされているような通路での注意点を解説する。

通過方法

仰向けになって、足から先に狭洞部に入っていく。(頭から先に入ると通路の先が見えないため)
目視と足の感覚で進む方向を確認して慎重に進む。ガイドが声を掛けたり、予備ライトで後続の参加者を照らして誘導しても良い。

焦らずにゆっくり進む

呼吸がしずらい恐怖感から早く抜けてしまいたいと焦ってしまいがちではあるが、そうなると服が引っかかったりしてパニックになってしまうことがある。岩に服が引っかかってしまったときは焦らずゆっくり少しだけ戻り、引っ掛かりを外して再度進む。

顔に水がかからないようにする

通過中にパニックになる一番の要因は顔に水がかかることである。目に入っても拭き取る事はできず、鼻や口に水がかかると溺れてしまいそうになる恐怖感でパニックになってしまうことがある。移動中は波を立てないようにゆっくり進み、先行者や後続者は波を立ててしまわないように狭洞部から離れる。

水深が深い半水没部

水深が腰よりも深く、空間が天井付近にしかないような通路を指す。

通過方法

首から下は泳いでいるような状態になるため、腰を落として重心を低くし、手を広げてバランスを取りながら進む。途中で転倒しないよう足元にも注意する。
顔に水がかかると恐怖感が増すため、波を立てないようにゆっくりと進む。

足元の確認

水中の岩や障害物に注意し、滑ったり躓いたりしないよう足元を確認しながら進む。水中の岩や泥は滑りやすいため、特に注意が必要。
透明度が低い場合は、足で感触を確かめながら進むと良い。

手を使う

基本的には手を広げてバランスを取りながら進む。手頃な岩や天井の出っ張りがあれば手で掴んで支えにするとバランスが取りやすい。

水没部

通路が完全に水で満たされており、通過中は呼吸が出来ないため特に危険な箇所となる。注意点を確実に参加者に説明し、怖がっている場合は撤退を検討してもよい。

通過方法

ゴーグルを用意し、まずはその場で潜って次の空間の位置を覚える。手や足が届く位置なら触って確認すると距離感が掴みやすい。

次の空間の位置を把握したら深呼吸をする。まずはその場で深く潜り、十分に深く潜ってから横移動を始める。十分な深さまで潜っていない場合、服の中の空気で浮かび上がってしまい、天井に服が引っかかってしまう。

次の空間にたどり着いても油断せず、確実に口が水面から出るまで呼吸を止めておく。水中からでは空間の天井の高さがわかりづらく、水面から頭を出す途中で天井に頭をぶつけてしまうことが多くある。ここで呼吸ができると思い油断していると天井に頭をぶつけたタイミングで呼吸をしてしまい、水を大量に飲んでしまいパニックになるリスクがある。水中から頭を出すときも油断せず、確実に首から上が水面から出たことを確認してから呼吸する。

先行者がライトで誘導する

水中では進む方向がわかりづらく、呼吸が出来ない焦りから出口とは異なる隙間に入ってしまったり、狭く引っかかりやすい隙間を通ってしまうことがある。確実に安全なルートで通過できるよう、ゴール地点でライトを沈めて通過中の参加者の方に向け、光で進む方向を誘導してやると通過中の安心感が増す。

6章

Posted by kokubo