5.02 ツアー前の準備

5章

概要

ツアーの魅力をお客様に100%伝えるには入念な事前準備が重要となる。準備不足によるタイムロスはお客様の時間を奪ってしまい、また怪我をしてしまえばその後は楽しむどころではなくなってしまう。
そのようなことが無いよう、様々なリスクを洗い出した上で即座に対応できるよう準備すべき。

装備の準備

洗濯

お客様の声で地味に多いのが「レンタル装備が汚い」という声である。実際、泥の多い洞窟に入ると泥の粒子が布の繊維の奥深くまで入り込んでしまい、どれだけ洗っても土埃が出てきてしまう。事前に大量の水ですすぎ洗いを行い、可能な限り泥を落としてく必要がある。

ヘッドライトの電池交換

お客様全員に予備ライトをレンタルすることは難しいため、メインライトの電池が切れると照明がなくなってしまう。もちろん足元や危険な場所も見えなくなってしまうためそのままツアーを続行すると事故に繋がってしまう。ガイドが予備のライトを持っているとはいえ、ライトの交換も時間ロスになってしまうため、ツアー前にレンタルする全てのヘッドライトの電池を交換しておくことが望ましい。
また電池を交換したら点灯確認も忘れずに実施する。

予備の装備

つなぎ服等の準備をするために予約の時点でお客様の身長・体重等を確認したとしても、当日お客様にお渡しすると合わないケースは多い。また現地で装備トラブルが発生するケースも珍しくないため、レンタル装備は各サイズを少し多めに用意しておくべき。

事前調査

洞窟までの導線の検討

お客様が車1~2台で来られるような小規模なケースであれば別だが、大抵は集合場所に多くの車が1ヶ所に集まることとなる。場所によっては近隣住民の迷惑になるため、集合場所の地権者・責任者に挨拶しておき、許可を得ておくべき。
集合場所から洞窟付近の駐車場への移動も、はぐれやすい場所がないか、乗用車ではスタックするような山道がないか等を確認しておく。

アプローチのルートの確認

洞窟付近の駐車場から洞口までの徒歩ルートに危険な箇所はないかを確認する。川を渡ったり、バランスを崩すと滑落する可能性がある場所は補助ロープやハンドラインを用意しておく。
ま、初心者でも余裕を持って移動できる高低差と距離であるかも重要となる。アプローチで体力を使い切ってしまうと洞窟を楽しむどころでは無くなってしまうため、お客様の感想が「とにかく疲れた」になってしまう。

洞窟内の危険箇所の確認

ツアーで使う予定の通路を実際に歩いて、以下のようなポイントでツアー中の事故に繋がるリスクがないか確認する。

  • 滑りやすい岩がないか、崩れそうな岩や足場がないか。(崩れそうな岩に関しては先に崩しておいてもよい)
  • 狭洞部は初心者でも突破できるレベルのものか。
  • よじ登ったりチムニーが必要な箇所はないか、補助ロープやハンドラインは必要ないか。
  • 足がつかないほど深い地底湖はないか。

休憩場所の選定

腰を落ち着けてリラックスするためにも危険箇所での休憩は避けるべき。具体的には以下のような箇所は避ける。

  • 落石の危険がある場所
  • 転落、滑落の危険がある場所
  • 狭い場所(広いホールがない場合、なるべく広い部分で休憩する)

天候の確認

雨天の場合は洞窟内の水位が変動するため、地底湖等の水がある場所がどのように変化するかを確認しておく。地質によっては1~2日前の雨により水位が上昇する洞窟もあるため、当日だけではなく数日間の天候と水位を照らし合わせて雨が降ってから水位が上昇するまでのタイムラグ、どの程度の雨でどれくらい水位が上昇するか、大雨の際に水位がどこまで上昇するか・水没しないかを確認する。

この情報を元にツアー前の天気を確認し、水位を予測してツアーの開催・中止を判断する。

参加者の着替え

装備が行き渡っているか確認

ヘルメット、つなぎ、手袋等のレンタル装備が全員に行き渡っているかをガイド自らが目で見て確認する。

ヘルメットが正しく装着できているか確認

ヘルメットは正しく装着できていないと移動中にズレたり、いざというときに外れてしまったりする。
まずはヘルメットを深く被り、頭の周りを囲うようになっているベルトを閉めることでヘルメットを頭に固定する。あごひもを外した状態で頭を前後に振ってもヘルメットがズレなければOK。
次にあごひもを閉める。締めすぎると下を向いたときに首がしまってしまうため、あごとあごひもの間に指が1本入る程度の余裕を残して閉める。

ヘッドライトが点灯するか確認

何らかのトラブルや電池交換漏れ等で点灯しないライトが無いか確認する。参加者にライトの操作を覚えてもらうためにも、参加者自身にライトを点灯してもらい、近くの人同士で問題なく点いているかを確認し合ってもらうとよい。
また、このタイミングでヘッドライトの角度を参加者自身に調整してもらう。正面よりやや下向きの角度に調整し、ライトが目線の先を照らしていればOK。

長靴のサイズが問題ないか確認

サイズの合っていない長靴を履き続けると靴擦れや疲れの原因になってしまう。確認方法は参加者に問題ないか聞くだけでもよい。

5章

Posted by kokubo