5.01 横穴ガイドに必要な装備

5章

概要

ガイドツアーのお客様は洞窟初心者であるため、洞窟に連れて行くにはガイドのみで洞窟に入る場合と比べて必要となる装備が変わってくる。ここでは「初心者を洞窟に連れて行く」「初心者でも洞窟を楽しんでもらう」という観点で必要な装備を紹介する。

レンタルする装備

洞窟のツアーでは基本的に必要な装備をガイド側で用意するケースが多い。高価な装備を用意する必要はないが、ツアーの快適さや安全性を担保するためにも最低限必要なレベルが存在するため、その視点で解説する。

ヘルメット

ホームセンター等で販売している工事用のドカヘルでも機能面では問題ないが、写真を取った際の見栄えが悪くなるためクライミング用のヘルメットがおすすめ。一般的なメーカーのものであればやすいものでも
ヘッドライトを付けることになるため、ライト用のクリップがついているものを用意する。

ヘッドライト

水が大量にある洞窟でなければホームセンター等で売られている1000~2000円ほどのヘッドライトで問題ない。水に濡れる可能性がある場合は防水のライトにしたほうがよい。
明るさについても重要な部分はガイドが持っている証明で照らせばいいので、レンタル用のヘッドライトは足元が見える程度で十分。

つなぎ服

日本の洞窟であればホームセンターの綿のつなぎ服でOK。綿とポリエステルの混紡であれば洗濯するときに乾くのが早いのでメンテナンスが若干楽になるが、1着の価格が高くランニングコストが高くなるのであまりおすすめしない。
通常はS・M・L・LLの4サイズを用意しておけばよいが、小さなお子様や体が大きいお客様が来たときを考えて、念のため子ども用や3L・4L・5Lサイズも用意しておくとよい。

長靴

靴のレンタルは長靴がよい。洞窟で水たまりに入っても浸水しにくく、洗うのが簡単で乾くのも早いので使用後のメンテナンスがしやすく、価格が安い。

手袋

可能であれば手の甲が布になっているタイプの作業用ゴム手袋がよい。軍手でも問題はないが、耐久性が低いため交換頻度が高くなり、泥を吸いやすいのでレンタルするときに大量の土埃が出てしまう上、濡れたときに指先が冷えてしまい不快感が強いのでお客様の満足度も高くはない。

サポーター

サポーターはなくてもツアー自体は可能だが、膝・肘を保護するサポーターがあるとお客様の満足度が格段に向上するため、予算に余裕があれば導入したい。洞窟では這いつくばったり匍匐前進をしたりで膝や肘にアザができることが多く、特に女性はアザが数日経っても消えないような体質の方が多いため保護するものがあるととても喜ばれる。
ただし、簡単にずり落ちるようなものは逆に動きづらくなってしまったり頻繁に位置を調整しなければならないため、そちらの不快感の方が強くなってしまうこともあるため要注意。

ガイドの装備

横穴探検用の装備

下記以外のガイドマニュアルの「横穴探検の装備」を参照。

照明

お客様に貸し出すヘッドライトは小さいものになるため、洞窟を綺麗に照らすことは厳しい。洞窟は綺麗に照らすことが出来なければ暗くてドロドロの場所になってしまうため、お客様の満足度を上げるためにはライティングが重要となる。
水に濡れることや泥が付くことを考えると完全防水のものを用意すると良い。明るさは最低でも数百ルーメン、できれば1000ルーメン以上を用意したい。ダイビング用のライトはこれらの条件をすべて満たすため使い勝手が良いが、水中でないと発熱で壊れてしまうライトもあるため、仕様を確認したり地上で動作確認をしておくべき。

カメラ

防水のアウトドアカメラを用意する。機能としてはフラッシュ撮影さえ出来れば使用可能だが、暗い場所でも綺麗に取れる機種を選択したい。どのメーカーが使いやすいかは頻繁に変わるので、購入するタイミングで同業者等に相談すると良い。

エマージェンシーキット

中身の詳細については「エマージェンシーキット」を参照。洞窟内も常に持ち歩く必要はないが、洞窟の入口や洞窟内の安全な場所、駐車場が近いのであればガイドの車の中など、何かトラブルが発生したときにすぐに使用できる場所に用意しておく。可能であれば洞窟ごとにどのようなリスクが有るかを整理しエマージェンシーキットの保管場所をルール化しておきたい。

5章

Posted by kokubo